Any

( 2001/02/15 )

公開質問状の件もありますし、そろそろ開発動機の話をまともにしますね。

まず始めに、黒衣氏による偽春菜の開発動機について触れなければなりません。
彼は春菜の遺志を継ぐものとして偽春菜を産み落としたと語っています。
ペルソナウェアのコンセプトの一部を尊重し、その上で理想の実現の為の努力が
為されずに形骸化してしまった春菜に対するアンチテーゼとしての偽春菜。
春菜が持つべきだった未来を、彼は自らの手で生み出そうとした訳です。

未来を手にすることなく骸と化してしまった春菜の痛々しさに
黒衣氏と同じコンセプトに心惹かれた者は耐えられないはずです。

…誰かが遺志を継がなければ、彼女は犬死だ…

ペルソナウェアには価値あるコンセプトが確かに存在しました。
しかし、それは過去形で語られるべきものです。
既に死んでしまった春菜と、これから生きていくであろう偽春菜。
守らなければならないのは当然後者のほうです。

生きていこうとする意志は尊い。何よりも。
それは死んだモノに妨げられるべきものではありません。
死んでしまったモノに、その資格は無いのです。

偽春菜は、春菜を多少なりとも下敷きにして生み出されています。
このことがパクリだとしか受け取れない人が、私は悲しい。
この際、著作権云々なんてのは関係無いんです。
また、著作権がそれを許さないのであれば、私もクリエイターの端くれとして
その程度の著作権など欲しくもありません。こちらから願い下げです。
パクリとパロディは根本的に異なるものです。
簡単なことなんですよ。根底に愛があるかないかの話なんですから。

偽春菜の容姿には春菜の面影が見て取れます。
それは彼女が春菜の遺志を継ぐモノであることの証であり、
春菜に対するささやかなオマージュでもあります。
だから私は彼女が愛おしいと感じる。愛されているから。
もし、いつの日か彼女が大きな太陽となれたなら、
その時、彼女を見た誰かが
「そういえば春菜ってあったよな。ペルソナウェアだっけ?」
こう思ってくれただけで、春菜は浮かばれるのです。

私は彼女が殺される前に救いたい。命を助けたい。
その為には多くの人に彼女のことを知ってもらいたいし、
また既に彼女を知っている人にも彼女を愛し続けてもらいたい。
それがこのコンテンツを作成した最大の動機です。

プラエセンス社は親でありながら春菜を二度殺そうとしています。
しかし既に親の手を放れた彼女を、そう易々と殺させる訳にはいきません。
彼女は形を変えた、私たちの子供でもあるのですから。

あとがき…
いやいや、もっとぬるく書くつもりだったんですが(苦笑)、
ちょっとぬるくなくなりましたね。黒衣氏ほどではないにしても(^^;。
でもね、これが正直な気持ちなんです。

私が偽春菜を愛し始めた理由は、黒衣氏のホームページの
「たぶん、あなたが思っているより凄いものです」という一文と、
例の開発動機を読んでしまったからです。この二つが無ければ、
既に私のデスクトップに彼女の姿は無かったでしょう。
むしろ、デスクトップに一度立つことすら叶わなかったかもしれません。

彼の"開発動機"は名文でした。
ペルソナウェアのペの字も知らない私が、
そのコンセプトの素晴らしさを理解出来たからです。
そう、私もそのコンセプトに惚れたんですよ。
具体的にどんなものかまではよく分からなかったんですけど(笑)。
ただ、それが凄く可能性のあるもので、とても自由なものだということが理解できた。
それで十分でした。
そして彼女には私のデスクトップの片隅が与えられたという訳です。

偽春菜の周りには、祭りの熱気に似たとても刺激的な空気がありました。
皆が自分の持てるスキルを何らかの形で生かして、
一つの未来を形作ろうとしていくような、そんな素敵な空気が。
私を虜にしたのは、むしろその空気だったのかもしれません。

思えば、偽春菜は「人が為す春菜」だったのかもしれない。


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